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あけてくれ!

こんな世の中、飛び出してやりたい!

異次元列車へようこそ
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ギャラリー

「ウルトラQ」ストーリー

第28話 あけてくれ!
※本放送では放映されず
昭和42年(1967年)12月14日再放送時に初OA(放映No. 第24話)
制作No.4 昭和39年(1964年)10月29日〜11月11日
視聴率 19.9%

[ストーリー] 万城目は由利子とドライブ中、泥酔した男を見かけて収容する。男は突然「あけてくれ!」と絶叫して不思議な異次元列車に迷い込む。その列車はSF作家・友野健二が作り上げた時間と空間を超越した特別な世界であり、男と同じように現実世界になじめない人たちから理想の世界として崇められていた。もちろん、いつまでもそこに安住することはできず・・・。

ウルトラQ第28話 あけてくれ!

[寸評] 何度見ても「わかったようでわからない、不思議な作品」です。「時間と空間を超越する」などということは、言葉で表現するのは簡単だが、実際にそれを画面で説明して理解を得ようとしても大変であるということがわかります。初回OAの際に放映が取りやめになり、空白分を次番組の「ウルトラマン前夜祭」として埋め合わされたことは有名なエピソードです。たしかにわかりにくいけれども、せっかく出来上がった作品を「お蔵入り」にしなくてもいいではありませんか。当初の「アンバランス」としての構想には合致していても、「ウルトラQ」としては物足りなかったのでしょうか?とにかくいろいろな意味で注目を浴びたことは間違いありません。脚本は「金八先生」などでおなじみの小山内美江子氏、「ウルトラQ」ではこれ一本のみの参加です。

万城目は由利子と夜のドライブ、一平は置いていかれ、「人殺し」発言まで出る始末。両手いっぱいに荷物を持たされた挙句の仕打ち、一平君、お気の毒様・・・この当時は2人の恋人としての演出が目立ちます。そのとき、道端に倒れて泥酔した男を見つけて、ひき逃げかと思い、車に乗せて収容する。踏み切りで男は突然「あけてくれ!」と絶叫して驚かせる。そして次の瞬間には男は空中をさまよう異次元列車の中にいた。空間がゆがむ不思議な世界で、窓の外には乗っている人の過去の記憶が映っている。沢村というその男は無札乗車で連れていかれるが、そこにはSF作家の友野健二がいた。この列車は彼の著書で表現した不思議な世界を地で行く世界だったのだ。人が現実の世界になじめず、どこかへ行ってしまいたい!と思ったときの「理想の世界」へ連れて行ってくれる列車なのだそうだ。

外に映る家族などを見ては、沢村は「あけてくれ」「降ろしてくれ」と叫ぶ。現実に嫌気がさしながらも、複雑な思いが錯綜するのでしょう。同じような症状でやはり「あけて、あけて」と叫ぶ女性もいます。言葉でもうまく説明しにくい世界を、一の谷博士は真剣に捉えて解説をほどこしています。やはり、神がかり的な存在です!

私の理想郷はどこに??

沢村は家庭でも奥さんや娘さんから不甲斐ない存在として白い目で見られ、会社でもまったくやる気が起きていないようで、上司から見放されている。全てが悪循環になり、つくづく現実社会に愛想が尽きている様子です。そしてまた現実逃避の世界へ向かってさまよい歩く・・・。痛烈な現実風刺のつもりでしょうが、この当時はさほどこうした現象にスポットが当てられることも少なく、理解がされにくかったようにも見受けます。

万城目と由利子は友野健二を訪ねるが、何年も前から不在だという。原稿だけは自宅まで送り届けられて留守番が対応していた。その封筒にある友野健二の写真、背景は黒く不気味な形相はまさに「死神博士」。この写真だけでびっくりさせる場面もあります。おまけにこの封筒、何やら本人の声が流れてきて話に応じてくる。私たちの理解を完全に超越して、もはや作者とともに別の世界へ行っています(笑)。

そんな世界が乗り移ったのか、由利子も「ここは、たしかにここ?」などと意味不明なことを口走り、暗澹とした世界に空気が流れていきます。そして再び沢村、「連れてってくれ、どこへでも連れてってくれーーーっ!!!」

ウルトラQワールド、ここにきわまれり、といった印象的なラストシーンです。この沢村を演じた俳優さんは「2020年の挑戦」でも強烈な印象を残すラストに登場しています。地味ながら存在感に満ちています。

怪現象 現実逃避する人物と列車、その信奉者
キーパーソン SF作家・友野健二
解決の糸口 迷い込んだ男を無札乗車でとがめる
解決アイテム 現実社会になじめず、未解決
登場怪物 なし(仮にも理解のない人たち、ではありません 笑)

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