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誘拐怪人ケムール人

特撮はSF世界へといざなった

登場人物とともに
お茶の間は驚き、震撼した
そして現実と空想は交錯した

ギャラリー

「ウルトラQ」ストーリー

第19話 2020年の挑戦
放映昭和41年(1966年)5月8日
制作No.22 昭和40年(1965年)8月15日〜8月23日
視聴率 28.6%

[ストーリー] 謎の円盤が飛来し航空機や人間が次々と消滅するという怪事件が起こる。由利子も危なく消されそうになり、調査に乗り出した万城目は不思議な液体に触れて飛行機の中で消滅してしまう。一平は「2020年の挑戦」という小説の通りに事件が進展していることに気づき、著者である神田博士を訪問して行動に乗り出す。消された万城目らの運命は・・・?

ウルトラQ第19話 2020年の挑戦

[寸評] 「ウルトラQ」でも最も衝撃的で、視覚的にも怖いお話といってよいでしょう。SF色濃厚でカルト的な要素もありますが、奇妙な点も随所にみられます。

レーダーが未確認飛行物体をとらえ、自衛隊機が捜査のために出動しますが、突如その飛行機は空中で消滅してしまいます。何者かの攻撃を受けたようにも見えますが、とにかく消えてしまい、責任者である天野は事件の弁明をするものの、上官には「おとぎ話を信じさせるのか」と一蹴されてしまう。現に消えてしまった飛行機や乗組員の捜査もしないままに・・・上官方、大丈夫?

この天野こそ、「ウルトラマン」のムラマツキャップ、「仮面ライダー」の「おやっさん」こと立花藤兵衛・・・落ち着いた好演です。オープニングテーマの間、画面は白黒反転させ、この物語を象徴するようにコワイです。ただごとでない予感にみなぎっています。 そしていきなりその予感は全開に的中です。プールで飛び込みをする男が空中で蒸発!それを目撃した男が驚いていると、横にいた女が「わりかし愉快じゃない」と気にも留めていないのが笑えます。高原の別荘では牛乳を飲む最中の男がコップを残して蒸発。消えてもすぐにはコップが落ちないのは意味深げでリアルです。

そして由利子はゴーカートの撮影中に人が消える場面を間近で目撃!由利子はただちにデスクへ電話するのだが、何も言わないうちから激しい勢いでまくし立てています。一体どうしちゃったのでしょう・・・?そして電話を切った後のコイン返却口になぜか次々と10円玉がたまっていく・・・奇妙な話だからといって電話機までおかしくなっているようです(笑)。

万城目は友人である天野が体験した謎を解明するため、セスナで現場を飛行するが、途中不気味な液体に触れて消滅してしまう!そして由利子もまた自ら収めた決定的な写真を現像しようとして、間一髪割り込んできた同僚が消されてしまう。デスクは、消されかかった由利子のために刑事を護衛につける。

忘れえぬ、衝撃のラスト・・・

この宇田川刑事、由利子が当初毛嫌いしたように、どうも挙動がおかしいのですが、刑事らしくキメるときはしっかりとキメてくれます。万城目がケムール星まで行ってしまった可能性があることを聞かされて気を失った由利子を抱きかかえるシーンは暗示に満ちていて、ちょっと怪しい世界を彷彿させます。他にも電話ボックスの由利子に迫り来る消去エネルギー源が落下した瞬間に不気味な本の表紙を挿入するなど、「ドッキリ演出」が目立ちます。

実はこれらの出来事は神田博士の著書「2020年の挑戦」とそっくりに進行していたのだ。一平は天野と一緒に神田博士を訪問するが、博士もまた消されてしまった直後であった。もはや絶望か!?ところが試作品のKミニオードは完成していた。

今回登場するケムール人もまた強烈な個性にあふれています。万城目に化けて正体を現すシーンは耳を動かしていますし、走るとパトカーも追いつけない速さ!発砲されても組織再編して巨大化してみたりとまさに神出鬼没です。

それから、この回もまた「放送禁止用語」にあふれていますね。DVDでは完全再現されていますが、聞くたびにハラハラします。衝撃的なシーンの連続で最後まで奇想天外な演出のオンパレードで、圧巻はラストの救いようのない結末。これでもかといわんばかりの、SFファンが泣いて喜びそうな豪華版の一編でした。

怪現象 連続する人間消失事件
キーパーソン 宇田川刑事
解決の糸口 神田博士の著書「2020年の挑戦」
解決アイテム KミニオードによるXチャンネル光波
登場怪物 誘拐怪人ケムール人

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