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風船怪獣バルンガ

生物か、現象か、もっとも恐るべき敵

宇宙空間に現れた小さな風船
それは豊かになりつつある、
この文明への警鐘なのか

ギャラリー

「ウルトラQ」ストーリー

第11話 バルンガ
放映昭和41年(1966年)3月13日
制作No. 16 昭和40年(1965年)4月2日〜4月24日
視聴率 32.6%

[ストーリー] 土星ロケット・サタン1号に搭乗していたパイロット・奈良丸は風船を見たという謎のメッセージを残して墜落する。万城目が操縦するセスナや車もガソリンがなくなりあわやの惨事に遭遇。セスナに潜んでいた謎の生命体・バルンガが周囲のエネルギーを吸収していたのだ。バルンガはどんどん成長して大きくなり、東京は送電を止めてパニックになる。バルンガの成長を止める方法は・・・?

ウルトラQ第11話 バルンガ

[寸評] ウルトラQのミステリアスな要素をふんだんにとりこんだ傑作といってよいでしょう。ストーリーもいたってシンプルなのに人々を底知れぬ恐怖に陥れます。脚本の虎見邦男氏に賛辞を送ります。それともうひとつ、見逃せないのが音楽です。バルンガが登場する場面は終始不安をあおるような地響きのするような独自の効果音を用い、それ以外は一切の余分な音を割愛している点です。ウルトラQとは別に「バルンガ」という一つの世界を作っているようで見事です。

土星ロケット・サタン1号は間もなく地球に帰還しようとしていた。パイロットの奈良丸は通信司令室の呼びかけに応えて大気圏内に入る準備も万端。心なしか安堵の表情もうかがえます。そこへ突然、燃料がなくなっていることに気がつき、一転して焦燥する奈良丸。小窓から見るとその外には風船状の物体が!その言葉を最期にロケットは海へ墜落した・・・。

現場をセスナで周遊する万城目と由利子。海辺には風船を持った老人の姿がある。するとセスナもガソリンがないことに気づき、あわてるが、どうにか星川航空へ着陸。一平を叱責する万城目。確かにガソリンは満タンにしたという一平。そのときセスナの中にあったという謎の物体を見つけて驚く万城目。小さい風船状のその物体こそが、今回の主役である生命体・バルンガなのであります。

このバルンガ、周囲のあらゆるエネルギーを吸収してはどんどん成長し巨大になっていきます。拳銃や自衛隊の攻撃にもびくともしません。大きくなると、ちょうど雨雲のようにも見えます。このきわめて異色な造形がまた素晴らしく、物体とも生命体ともつかないところが、この作品の世界に効果的に存在感を発揮しています。

明日の朝、晴れていたらまず空をご覧ください

バルンガを箱に入れて車で輸送中、またしてもガソリンがなくなり、万城目もお手上げ。すると箱の中からバルンガはふくらみ始め、一行は車を降りる。渋滞をつくる中、車いっぱいに大きくなったバルンガはついに宙に浮き始める。あっけにとられる人々、発砲する警察官(むなしく銃弾は落ちてきます)。そしてついには車を破壊して部品が落下し、由利子をかばった一平の背中に直撃、一平は病院へ運ばれる。

バルンガは周囲のエネルギーを吸収して大きくなっていくことを知った対策本部では、都内の送電を停止することを決定。当然ながら報道陣らの質問攻めにあうが、病院で手術を要する患者は他県へ運び出すことで落着。ところが、どうしても移動できない患者もおり、その中には一平も・・・。そんなにも重症だったのね・・・。

人々が不安にくれる中、バルンガの存在を「神の警告」だと主張する老人がいた。彼は20年前にバルンガを発見し、学会へ発表しながらも現物を処分してしまったため学会を追放されてしまった経歴の持ち主の奈良丸博士であった。そう、サタン1号のパイロット・奈良丸は彼の息子であったのだ。そして奈良丸博士はバルンガの対策を一緒になって考え、人工太陽を打ち上げて太陽へ誘導しようとする作戦がとられる。太陽がバルンガの本来の食べ物というが、「食べたこと、あるんかいっ!!」というツッコミはなしにしましょう(笑)。それにしても本当に太陽が食べられてしまったらどうするねんっ!!

ラストのナレーションは強烈に印象に残ります。物語の後半、巨大化していくバルンガに比例して大きくなっていく効果音も絶妙です。ウルトラQを代表する傑作といってよいでしょう。

怪現象 エネルギーを吸収して巨大化する生命体・バルンガ
キーパーソン 奈良丸博士
解決の糸口 人工太陽
解決アイテム 太陽???
登場怪物 風船怪獣バルンガ

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