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深海怪獣ピーター

無敵のジョーに何が起こったか?

連戦連勝、予告KOを続ける
ダイナマイト・ジョーは
まさしく子供たちのヒーローだった

ギャラリー

「ウルトラQ」ストーリー

第26話 燃えろ栄光
放映昭和41年(1966年)6月26日
制作No.18 昭和40年(1965年)6月〜7月
視聴率 35.2%

[ストーリー] 予告したラウンドで相手をKOする無敵のボクサー、ダイナマイト・ジョーはある日突然失踪して世間を騒がせる。万城目たちはおりしも、ショーでピエロとして身を隠しながら活躍するジョーの姿を発見して追及する。ジョーに一体何が起こったのか・・・彼が愛育するピーターという生物の正体は?心の葛藤を描く人間ドラマ。

ウルトラQ第26話 燃えろ栄光

[寸評] ボクシングを取り入れたドキュメント・タッチのドラマで、良い意味で親しみが持てます。主人公のボクサー、ダイナマイト・ジョーは無敵の強さを誇り、予告した通りのラウンドで必ず相手をKOし、ファンの熱い声援と注目を受けていた。彼は予告をする際に、横に置いてある小さな水槽の中に話しかけている。その中には、周りの温度によって大きさが変わるアリゲトータスという超深海生物ピーターがいたのだ。ジョーの話ではそのピーターがKOするラウンドを教えてくれるのだという。もちろん口をきくわけではない。彼の潜在意識がピーターの何気ない動作や容姿に投影されるのだろう。とにもかくにも彼は予告どおり勝ち続けた。

あるときジョーは、勝利の記念にピーターを一時水槽の外へ出してやる。水中ではトカゲほどの大きさだが、空気中では人間ほどの大きさになるのだ。そんなとき、マネージャーから「世界王者のロニー・カンポが挑戦に応じてきた」との知らせを持ってくる。国民を熱狂させるヒーローにいつかはやってくる宿命で、ジョーも素直に喜ぶが、そんなときピーターは必ずしも良い表情ではなかったようだ。

そしてジョーは失踪する。世界王者カンポとの対戦を1週間後に控えたところで・・・国民的英雄の失踪は各方面に大きな衝撃とショックを与え、ジム関係者も対応に大わらわ。試合当日までに探し出して予定通り試合を行うと宣言するものの、ジョーの手がかりはどこにもない。

画面は一転してダンスショー。余興に登場したピエロの演技に食い入るように見入る万城目。皆の拍手喝采を浴びるピエロだったが、万城目の目はごまかせなかった(まるで本物のヒーローみたい、すごい眼力ですね)。由利子らを伴って楽屋を訪問する万城目。すると姿をくらましたピーターを探してあわてるピエロのジョーの姿があった。思わず「どうしたんだ、ジョー」と呼びかける万城目に、そのピエロは驚きながらも首を横に振る。

ピーターと出会ったジョーは

話を聞けば、目を悪くしてチャンピオンに立ち向かえる状態ではないのだという。ピーターは偶然釣りをしたときに出会い、それからは幸運のマスコットとしてかわいがってきたが、世界戦を前にして「かわいそうに、KOされる番だぜ」と語ったのだという。万城目はそこで、それではファンは納得できないし、すでに逃亡説や買収説が飛び交っていることも引き合いに出して、懸命の説得を試みるが本人の意思は固い。

万城目は大胆にも無敵のボクサーにパンチを繰り出す。彼の鉄板ボディーが十分に通用することを実証させたかったのだが、「お前さんのアゴの骨も無事だった」とか「よけることもできなかった」とすっかり弱気です。単によける気がない、というようにも見えますが・・・。

しかし粘り強い説得の成果でしょうか。ジョーの心境も徐々に動きつつあり、あるときピーターが火災によって巨大化すると、ジョーはかわいがっていたピーターを海へ誘導する。何を思い立ったか、ジョーは新たに立ち上がろうとするのであった。再起へ向けての始動なのでしょうか。画面は何も語らないものの、その表情には静かな闘志が感じられます。

ジョーはどうしたのだろうか・・・?誰しも気になるところです。さっそうと歩みだす姿は結果をおそれずに、たとえ負けるとわかっている戦いであっても、ジョーの勇姿を見たいというファンのため、自分のこれまでのボクシングの集大成として納得のいくまで戦ってやろうという意思の表れのようにも見えます。まるでスポ根もののドラマですが、ピーターさえ出なければ何のドラマかと思ってしまいます。「ウルトラQ」にはこんなお話もあるのです。

怪現象 無敵のボクサーの失踪と深海生物
キーパーソン ダイナマイト・ジョー
解決の糸口 ピエロに扮したジョーの正体を見破る
解決アイテム 周囲の懸命の説得
登場怪物 深海怪獣ピーター(アリゲトータス)

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