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悪魔ッ子

夜の街をさまよう不思議な少女

精神と肉体は分離する???
オルゴールを大切にする
その少女は天使なのか悪魔なのか

ギャラリー

「ウルトラQ」ストーリー

第25話 悪魔ッ子
放映昭和41年(1966年)6月19日
制作No.2 昭和39年(1964年)10月5日〜10月26日
視聴率 30.8%

[ストーリー] 東洋魔術団の少女リリーは箱を抜け出して空中をさまよい歩く不思議な芸を披露していた。あるとき、過労で倒れたリリーを心配して楽屋を訪れた万城目たちは、ともに芸をする父親が催眠術でリリーを寝かしつけているのを目撃する。一の谷博士の話では、リリーは特異な体質で催眠術のかけすぎで精神と肉体の分裂現象が始まっていると警告する。

ウルトラQ第25話 悪魔ッ子

[寸評] コワイ話です。見た目にも怖いのですが、この話は人の精神が肉体が分離してさまよい歩くというのですから、聞いただけでもぞっとします。そしてその超越的な話にリアルに科学的に解明をほどこし、対応した道具を開発してしまう一の谷博士・・・おそるべし!!もちろん、「ウルトラQ」以前の「アンバランス」としての企画の頃のものです。

オープニングは交通事故の場面、ドキュメンタリー番組の様相を呈し「本当にウルトラQ?」という印象ですが、事故現場の壁にあった魔術団のポスターから話に切り込んでいきます。強引な展開ですが、ここからが本番です。

東洋魔術団のマジックショー、箱に入った少女は閉じ込められながら次の瞬間、箱の上に姿を現し空中を歩いて元の箱の中に収まります。皆一様に怪訝な表情で見入るものの、拍手喝采でショーは終えます。鑑賞していた万城目たちも、どんな仕掛けなのだろうといぶかしがる。しかしこれは重大な問題だと思うのですが、少女は幽霊のように半透明な姿で、おまけに空中を浮遊するのはどういうことでしょう。大衆に披露するには危険がありすぎで、よく騒がれなかったものです。

それから、少女に催眠術をかける男、この子の父親なのだそうです・・・えっ!?おじいさんにしか見えない?私もそう思います。催眠術をかけるときの表情は怪しすぎるし、その真剣なまなざしは下手な怪獣よりもずっとコワイです(笑)。実はこの少女は催眠術に依存した体質で、通常の人よりも多量の電気が流れ、恐るべきことに先ほどのショーで見たものは、少女の精神が肉体を離れた姿なのだという。

リリーという名のその少女は、毎晩催眠術で眠り、夜になると精神が町をさまよい歩き、ドライバーらを驚かして事故を引き起こしたりしては何か物がなくなるという事件が起きていたのだ。紛失した物はなぜかリリーの持つ小箱の中に・・・!分離した精神のリリーはまさに人々を驚かせては悪事をはたらく「悪魔ッ子」になっていたのです。そしてあるときリリーは舞台でついに過労のために倒れてしまう。

そして、少女は山へ・・・

夜の街をさまようリリーはまさに「幽霊」そのもの。冒頭の交通事故のシーンもすべてはこの伏線であったのです。ぼうっと白い半透明の姿はやはり怖いですが、ショーでは皆これを見せられていたのに誰も何も言わないとは・・・。それに輪をかけて驚くべきはその少女と同じ状態を人工的に作り上げてしまう一の谷博士・・・一平をモデルに同じような分離現象を実演してみせます。実験台になる直前の一平の不愉快そうな表情が目に浮かびます。「どうせ俺はみそっかす」とかぼやきながら・・・(笑)。

クライマックス、精神のリリーは肉体のリリーを連れ出し、会いたがっていた母親に会わせてくれるという。山の線路を手をつないで歩いていくシーンが印象的です。そして精神のリリーにとって予定通り列車はやってくる。警笛を鳴らしながら速度を緩めない列車・・・(絶対、問題あり、ですね)。救助にやってきた万城目は・・・?

一の谷博士の神がかり的な業績によってこの話も終止符を打ちます。ラストのナレーションには2種類あるそうです。DVDでは紹介されていますが、見直してみるとネガティブで後味の悪いバージョンを後で補正したというようにも見受けられます。受け取る人しだいでしょうが、どちらの終わり方がよいか、見比べてみてはいかがでしょうか。(ちなみにDVDでは「悪魔ッ子」の選択画面にしたところでカーソルを下へ移動して特別バージョンに直した後で再生すると出てきます。)いずれにしてもシリーズ屈指の、底知れぬ不気味なストーリーでした。

怪現象 頻発する事故と盗難事件
キーパーソン 特異体質の少女・リリー
解決の糸口 催眠術のからくりを見抜く
解決アイテム 一の谷博士が開発した融合機
登場怪物 なし(しいていえば「精神のリリー」?)

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