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異次元怪獣トドラ

上空で旅客機は行方不明となった

護送中の凶悪犯、
ゼロ戦の残骸、怪獣も出現、
まさにそこは異次元空間

ギャラリー

「ウルトラQ」ストーリー

第27話 206便消滅す
放映昭和41年(1966年)7月3日
制作No.9 昭和40年(1965年)1月21日〜2月
視聴率 36.4%

[ストーリー] 万城目らを乗せた超音速旅客機・206便は、東京上空で乱気流に飲まれて突如姿をくらました。心配して空港で待つ由利子たちに飛行機の音はするのだが、レーダーにはその形跡はない。飛行機ごと異次元空間に迷い込んでしまったのだ。護送のため搭乗していた凶悪犯のオリオン太郎はこのときとばかりに拘束を解いて銃で皆を道連れにしようと企てる。

ウルトラQ第27話 206便消滅す

[寸評] いつの時代にも飛行機事故というものはどきっとさせられます。この回では万城目と一平は超音速旅客機「206便」に搭乗しているのです。機内では客室乗務員がお菓子か何かを配っています。一平もお調子者ぶりを存分に発揮してなごやかな雰囲気だったのですが、この機内に護送中の凶悪犯・オリオン太郎も乗っており、一瞬緊張感が走ります。ほんの小さな出来事なのに抜群の音響効果でサスペンス演出は見事です。ここまでしなくても・・・と思ってしまうほどです(笑)。

そしてその不吉な前兆は、奇怪な事件を巻き起こします。旅客機の前に突然現れた得体の知れない乱気流に206便は飲み込まれていきます。有名なこのシーン、水をいれて稼動させた洗濯機を使って撮影しているのだそうです。CGに頼らずにひたすらアイディアを捻出する姿勢、これこそが初期円谷シリーズの特撮の醍醐味といってよいでしょう。こういった演出を嘲笑する節もあるようですが、感性を重視しているぶん、妙なリアリティがありますし、少なくとも私はこのスタイルこそが本来の特撮であると信じます。

かくして206便は東京上空で突如レーダーから姿をくらまし、迎えにきた由利子らをパニックに陥らせます。しかしなぜか上空には飛行音が・・・レーダーにはやはり何も映っていない・・・206便に関する情報もどこからも寄せられない。航路から判断すればこの音こそが206便では?まさに謎が謎をよぶ、これぞ「ウルトラQ」の真髄・・・。

その頃206便は雲の上のような不思議な空間に停止していた。機内ではオリオン太郎が、このときとばかりに手錠を抜け出し、意識を回復した乗客を銃で脅している。自らの運命を悲観して、皆にもお供してもらうのだそうだ。乗客は彼の言う通りに外へ出るが、そこには戦時中のゼロ戦の残骸などがある。何という場所!時空を超えた空間です。そこにいたパイロットもミイラ化しています。

絶体絶命!そのとき万城目は・・・

ここでどういうわけか、無邪気なオリオン太郎はのん気にダイヤを発見すると、背後からいつも勇敢な万城目が格闘を挑む。パチン、パチン!こだまする寂しい効果音。そしてついに悪人の宿命か、オリオン太郎はその空間から飛び出していったのだろうか、飲み込まれるようにその場から行方をくらましてしまった。・・・するとそこに・・・って、まるでオリオンが変身して甦ったかのように(笑)、怪獣トドラが登場します。

アザラシのような姿の怪獣トドラ、東宝映画からの借り物です。グロテスクなだけに神秘的で何ともいえない怖さと不思議な雰囲気をかもし出します。ただし、特別な武器を持っているわけではないようで、この不思議な空間のみに生息するようなので空間とともに消息も絶たれます。

何とか空間を脱出したい一行。しかし、機長は先ほどオリオンに撃たれて負傷している。ここで何とかする男、万城目の登場です。さすがはパイロット!と言いたいところですが、普段セスナばかり操縦している人が突然旅客機、それも超音速の代物をいともたやすく操れるものでしょうか・・・?案の定、一平と2人で懸命に脱出を試みるもなかなかエンジンがいうことをきかない。絶体絶命の一行。空港では一の谷博士や由利子もしきりに心配しながら、レーダーの反応を気にかけています。

最後は富士山の姿を拝むことができて何よりですが、万城目の「あれが、現実につながる壁かもしれんぞ」などと、細かいところにいかにもSFらしい、実に奥深いセリフが散りばめられています。「あけてくれ!」を放送しなかった初回放送時にとっては、これが最終回だったのですね。「ウルトラマン」の序章として数々の話題と驚異的な視聴率を記録したこの番組に、このときはこれで終止符を打ったのです。

怪現象 異次元に迷い込んだ旅客機
キーパーソン オリオン太郎(事件を複雑化する)
解決の糸口 自滅するオリオン
解決アイテム 万城目の勇気と行動力
登場怪物 異次元怪獣トドラ

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